看護師として医療に従事する上で、診療報酬への基本的な理解は欠かせないものだ。診療報酬とは、患者が医療行為を受けた際に保険制度から支払われるお金のことで、病院施設の維持や管理、医薬品や医療機器の購入やメンテナンスに使われるだけでなく、医師や看護師など医療スタッフの人件費や福利厚生費にも活用されている。
このように、診療報酬は健全な医療体制を維持するために重要であることから、社会経済や医療の発展状況に見合った見直しが2年に1度行われているのだ。これが診療報酬改定であり、これに関わっているのは内閣と中央社会保険医療協議会いわゆる中医協、そして社会保障審議会いわゆる社保審の3者である。中医協とは厚生労働大臣の諮問機関であり、医師や歯科医師、薬剤師など医療サービスを行う診療側委員と健康保険組合などの支払側委員、そして両者を調整したり国民への説明を行ったりする公益委員の3者で構成されている。
診療報酬改定は、改定の約1年前に中医協が現在の診療報酬の課題について調査することからはじまる。これは内閣と社保審から出される診療報酬の改定率や基本方針に沿って、のちに詳細な議論を中医協で行うための下準備である。診療報酬の大まかな改定率は内閣が決定し、この改定率をもとに社保審がさらに議論を加えて診療報酬改定の基本方針を決定する。そして中医協が、内閣が決定した改定率と社保審から出された基本方針をもとに詳細な診療報酬を決定していくのだ。これが診療報酬改定の大まかな流れである。